目次へ   前 登山トップへ   次 Hコースへ

G羊蹄山・京極往復コース


タイム 登山口5:50⇒4合目7:00⇒外輪山10:15⇒山頂10:30~11:05⇒登山口14;00    最終下山登山口16:20

                                                          CL 佐藤 眞
 羊蹄山京極コース、どうも全国的に悪路の難コースとして知られているらしい。このコースを望まれた参加者はゼロであった。今回このコースを登って
いただいた皆さんは不本意ながらも調整の結果を受け入れられた心優しい皆さんであった。事実このコースは急登で少々荒れている。そして今回は
100名以上の下山路として使われた。つまりこのコースは誰よりも辛いコースをいち早く登り下山し、他のコースの皆さんのために道を譲る。という条件が
付いていたのである。京極コースの皆さんの予定通りの登頂に祝意と感謝を申し上げたい。登頂おめでとうございます。そして有り難うございます。
1班 岩手山岳協会9名 2班山口山岳会4名 遊雪会(栃木県)1名 やま雪会(大阪府)2名 3班富山県山岳連盟7名 岡山県山岳連盟2名 4班小鹿野
山岳会(埼玉県)3名兵庫県山岳連盟4名  班編成は昔々の国体の審判をしていたころの各県のイメージに基づいたCL佐藤眞の独断である。
各コースリーダー 1班 芳賀正志 2班 加藤剛正 3班 大瀧恵二 4班 林清恵 スウィパー野田

行動概要
 始めに書いたように早い下山を求められていたことと、前日からの高気温を考えると力が分からない皆さんをまとめて10時間余りで登頂し下山するの
は難しい。小班編成として一人でも多く登頂していただくが、無理と判断したらきっぱりと降りていただく方針とした。7~8名位は途中下山も致し方ないと
覚悟しての登山開始であった。
 各班登山開始前の記念写真を撮り、気持ち良く歩き出す。もくろみ通り1班2班は健脚を発揮し快調に登っていく。3、4班は暑さを考えてか慎重に歩を
進める。登山道はほぼ東から西へと直線的に登っていく。つまりこの季節いくら樹林地帯と雖もまともに後ろから朝日に照らされる。それもこの日北海道
が沖縄よりも暑く日本で一番暑い日であった。さて、どうなることやら。行動の状況を3班の大瀧リーダーに報告して貰う。
 6時00分、準備運動と記念撮影を終え、1→4班の順でスタート。とにかく暑い一日になることが予想された。スタッフの面々は、今日の水分は2リット
ルでも足りないねと話していたほど。参加者の統率が取りやすそうというCLの思惑どおり、1班と2班は標準より早いペースで1合目の林に入るころには
もう見えなくなった(6時15分)。3班と4班は着かず離れず11時30分の行動限界時間ギリギリでの登頂を狙い、かなりゆっくりペースで歩くが、それでも
2合目(6時40分)3合目(7時00分)と通過するうちに、3班から遅れ始める参加者が2名出てしまった。本州からの参加者は口々に「北海道は涼しいと
思って来たのに暑いわ」とつぶやいていた。 遅れた参加者は、CLとNさんに任せて、何とか6合目まで到着(8時55分)。
 山頂までギリギリ届きそうなペース。ここでも4班と一緒に休憩をとることになったが、4班の1名が昨夜ホテルのお風呂で転び痛めた足が気になるとの
こと。CLが応急処置を行う。また、早くも残りの水が 700ML しか残っていないという参加者3名に対して、CLが水を分け与えた。ほとんどの参加者が暑
さのためか序盤よりペースが遅くなり始めている。さらに、6合目で時間を使ったために、山頂に届くか微妙な時間になってしまった。また、ここで3班から
遅れ気味のもう1名をCLにお願いすることとなった。「このペースだと今日は外輪山までになりそう」との旨を3班の残り6名に伝えると、全員山頂まで行
きたいとのこと。また、負傷者に合わせてペースがさらに遅れた4班の残り6名も登頂は譲れないと言っているらしい。3班のメンバーに「山頂を狙うなら
少しペース上げますよ!」と告げてギアを1段上げると間もなく、4班の負傷者が班リーダーに引率され下山することになったとの連絡。CLの判断で4班
の残り6名を3班に吸収することになった。3班の岡山県の2名はまだ元気があるため、少しペースを上げれば山頂まで登れそうな雰囲気で、先を急ぎた
い視線をひしひしと感じる。それならば、1班か2班に合流してもらおうかとも考えたが、1班2班と連絡が取れないため、先行する岡山さん2名を追いか
け8合目の先で待機してもらうよう釘を刺す。「こんな若輩者の自分なのに、聞き分けの良い岡山さんで本当に良かったなぁ」といったん8合目まで戻り、
ここで4班の6名を待つことになった。少しのタイムロスの後、この先は12名に再編成された3・4合同班で山頂を目指す。先頭をお願いした岡山さん2名
のペースを抑えつつ、一気に遅れ始めた富山さん6名に励ましの声をかける。4班からの合流組も気にかけつつ、なるべくパーティがコンパクトになるよう
心がける。9合目(10時50分)までもうすぐ。ここまで来たら、何としても皆さんを山頂までお連れしたい思いが強くなる。前には「後ろが見えなくならない
ように急がないで」、後ろには「ペースを落とさないで」と大きく声をかけつつ、ガレ場のロープまで来ると、外輪山には昨夜から山頂で待機している大会
本部のスイーパー隊が見えた。大きく手を振って、少しだけくじけそうになっていた弱気を振り払う。
 11時10分、外輪山到着。間もなく1班と2班が山頂から下りてきた。外輪山の向こう側には、比羅夫~京極縦走コース組がアリの隊列のように見える。
あちらは約90名。下山で一緒になると渋滞がやっかいだなぁと思いつつも、少しだけ時間に余裕がありそうなので、ここで15分間の休憩をとる。
その間に遅れていた3名も無事に外輪山へ到着し、12名みんなで山頂を踏むことが出来た(11時30分)。
 15分間の山頂滞在の間に、外輪山を歩いてきた比羅夫組が次々と京極コース外輪山に到着し、混雑し始めてきた。点呼すらままならないため、立ち
止まらず下山を開始する。あれだけバテていた皆さんだったが、下山は早い。先頭はあっという間に見えなくなった。夜の交流会の30分開始時間繰り下
げなどCLと交信しつつ、最後尾に着きながら1合目まで下りてきた(16時30分)。京極山荘の赤い屋根とその前で待っていてくれる待機スタッフたちの
姿が小さく見える。山スキーの際にいつも感じていることだが、今日の安堵感はいつもの数倍大きかった。                (3班 大瀧恵二)

 32名中29名が登頂されたのは正直嬉しい想定外であった。皆さんの意欲と健脚には只々脱帽である。頂上に立てなかった方も満足いただけていた
ようである。この山行で若いスタッフも良い経験をさせていただき、大きく成長した。感謝あるのみである。
秘策
 京極コースの先頭グループ岩手の皆さんは想定10時間より2時間も早く14時に下山した。これを本部に伝えると、『早い、何故そんなに早い。』と問わ
れ、『秘策を用いました。』と答えた。京極コース登山口近くには、札幌山の会自慢の『京極山荘』が有り、前夜は羊蹄山全コーススタッフの宿泊所として、
当日は下山後の休憩、トイレとして参加者に使用された。山荘裏には簡易トイレも用意されていた。実は前夜の飲み残しのビールが相当量山荘に残って
いるとの情報が入り、これを皆さんに伝えただけなのである。遅い訳がないのである。しかし、確認するとそのビール本部のどなたかが回収してしまって
いた。もう手遅れだ!いや、北海道山岳連盟の名誉に懸けて、『買いに走ってくれ!!』・・・・・・秘策なのだ。
 山荘自慢
 京極山荘は1995年札幌山の会の創立30周年記念事業として会員の浄財をもって建てられた30名は悠々に宿泊できる山荘である。職人の手を借り
たが、多くの会員がコンクリート練り、金槌を持ち、手作りをしたものである。夏冬を問わず、羊蹄山を楽しむには格好の山荘である。山荘からスキーを
付け山頂を目指し、山荘まで滑り降りることのできる積雪期は格別である。
 最後に
 本来このコースをご案内するのは札幌山の会に所属する東海林春樹であった。彼は、決して若くはないが所属山岳会のみならず北海道山岳連盟に於
いても活躍を期待されていた好人物だった。残雪期の日高山脈全山単独縦走の途上4月1日無念の滑落死を遂げた。64歳の情熱とチャレンジ精神を
皆さんにも知っていて戴きたくここに敢えて記した。しかし、安全登山は私たちの目指すところ、また無事に皆さんとお会いしたい。この羊蹄山で、そして、
全日登山大会の山々で。




参加者メッセージ 
                京極コースに参加して

                                                   富山県山岳連盟 木戸繁良

 北海道は大きく、山あり人ありで。56回のうち7回も全日本登山大会が開催されたことに、心から敬服いたします。
1日目
 今年の異常気象に、富山空港からの飛行機もダイヤ通りには飛べないとのことで、一日一便の千歳行きもそのかぎりではなかった。
 千歳空港から会揚(定山渓ビューホテル)まで定期バスは1時間30分かかるとのことで、マイクロバスをチャーターしてあったが、開会式会場には30分
位遅れて着いた。
すぐに予約してあった参与会に出席、旧知の方々が参加されている。
 専務(事務局長)の丁寧な説明と参与会員の意見を交えて。予定の時間を超えて終了した。
2日目
 4時30分登山口行のバスの出発に合わせ準備、ホテルで朝食のおにぎり、昼食の弁当を受け取り、パスに乗る。 バスの中で朝食を済ませ、中山峠
でトイレ休憩、ここから見る羊蹄山は素晴らしい。こんな整った富士山と名の付く山は私は知らない。
 車中、札幌山の会会長の佐藤眞CLから登山の注意事項と山の説明があり、登山口5:40分、準備体操があり、各班ごとに出発する。
 この素晴らしい山容は、一合目に近づく樹林帯に入ると見えなくなった。
 私達Gコース4班は、札幌山岳会の方にお世話になり、班長さんは大滝恵二SLで、やや足が早く思えた。4合日位で少し遅れると、時々我々を見なが
らしきりに励ましの言葉がかかる。時間を気にしておられるようだ。頑張っての声に励まされ、北アルプス式の登り方は適用しない、視界が開けずうっそ
うとした中を、合目毎の標識の励ましの言栞に力をもらって、1,450mの直登はこたえた。
 頂上まで6時間がタイムリミットと指示されていたが、火口縁に11時15分に着き、SLから頑張っての声で11時30分山頂に着いた。
 火口縁で昼食を取り、早急に下山にかかる。スリップに気をつけながら、雨の日でなかったことに感謝する。
 今日は全国の都市で札幌が一番暑い日であったという。4本目のボトルも少なくなり、一合目で佐藤CLの計らいで、札幌山の会の山小屋で休憩ナると
の連絡を受け、足も軽くなる。小屋で、サッポロビールをいただく。このおいしさは忘れられない。
 16時30分、小屋を後にバスに乗る。

目次へ   前 登山トップへ   次 Hコースへ