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第4回ボルダリングJAPAN CUP川越大会報告
                                                競技委員  長井 洋子(札岳連)

 当初長崎県で開催予定だった『ボルダリングJAPAN CUP』(日山協主催)は、急遽会場変更になり2009.2/28-3/1の土日、埼玉県川越市のクライミングジム「ロッククラフト川越」で行われた。
 北海道からエントリーしたのは高橋恵(登攀道場美唄)、萩原亜咲(酪農学園大学3年)、杉本怜(札幌西高2年)、古坂賢太(XcALibUR)の4名。今回の大会は4月埼玉県加須市で行われるワールドカップ日本代表選手選考会も兼ねている。
何気に見に行こうと思い、飛行機を予約・購入した私は、詳しく大会要項を確認し悩んだ。「会場が狭いため、一般の観戦はお断りします。」、確かに今回男子に関しては55名程の参加資格者に名前が無いとエントリー出来ない大会であり、また競技終了した選手もすぐ外に出されてしまう状況。これは行っても見れないかと落ち込んだが、飛行機キャンセルも惜しいので、せめて入口で北海道選手の応援という考えで川越行きを決めた。
 2/28(土):仕事の関係で予選当日朝一の飛行機のため、女子予選は間に合わなかった。案の定、大会は選手とスタッフのみで行われ、かなりシビアな大会になってしまったようだ。競技終了後の選手は、クライミングジムが入っているビル3階の空き事務室に送られる。そこは観客も入れるが、暗い事務室にブルーシートと壁にプロジェクターで予選の様子が投影されていた。女子選手25名中萩原3番目、高橋4番目の競技順だったため、終了後に逢った。萩原いわく「観客からの応援が無い状況では頑張れない!」と、彼女の実力からして5課題中1完登で9位は想像つかない成績であった。高橋は2完登で8位、決勝進出はここでラインが引かれてしまった。
 男子予選は13:40からで52名中杉本2番目、古坂15番目。プロジェクター映像も途切れながら送られてきたが、北海道2名はちょうど3・4・5課題目が見れた。ここで驚いたのが杉本。5課題中全完登でアテンプト数を稼いだものの6位と大健闘。古坂は2完登だがアテンプト数が3、準決勝進出ラインはアテンプト数2で切られ、北海道選手は高橋と杉本が翌日の準決勝・決勝に挑むことになった。
ユース強化選手の樋口純裕(佐賀)新田龍海(神奈川)、長谷川慎平(岩手)、沼尻拓磨(茨城)、村井隆一(千葉)、渡辺桂太(三重)は予選敗退。一躍杉本が注目されてしまった。
 3/1(日):予選の結果はすぐJFAのHP上にアップされていたので、杉本10:54スタート、高橋13:40スタートをチェックし会場に向かう。3階に上がると誰もいない。女子受付前に高橋も3階に来るが、会場へなんと準決勝・決勝は観戦OKになったのだ。
前日選手から相当反感を駆ったらしく、定員数を設けて観客を受け入れした。私が観戦出来た時は既に杉本が準決勝4課題目にトライ中。周りから「怜クン凄いね。」の声ばかり。
結果を見ると準決勝1位通過、目を疑った。準決勝2課題目は20名中完登者3名、その中に杉本がいる。安間佐千(栃木)、渡辺数馬(千葉)、茂垣啓太(山口)、堀創(宮城)と言った有名選手を抜いての1位。杉本本人も逆にプレッシャーとなったようだ。
 男子準決勝終了後は女子の決勝。高橋は予選8位なので、決勝は1番スタート。「予選よりも順位を上げて4月のワールドカップ日本代表に選ばれたい。」と意気込んで挑んだ決勝は、完登出来なかったものの1撃でボーナスを2つ取ったので順位が上がり、見事5位入賞。女子の優勝は野口啓代(茨城)。2位になんと中学生の安田あとり(山梨)、3位に小林由佳(茨城)、尾川智子(宮城)は4位だった。
 男子決勝は開始予定遅れ16:30頃スタート、杉本は6名中6番目。1課題目は6名とも1撃、すぐに2課題目。下部からトラバース気味で張りぼてを超えて垂直に上がる課題、ここから落とせない選手が出てくる中、竹内俊明(千葉)と杉本が1撃。3課題目はルーフ課題、杉本はここで3撃。この時点で堀創に1アテンプト差で順位が逆転。4課題目、ルーフから始まりピラミッド型の張りぼてを両手でキャッチし、這い上がりスラブでゴール。この課題、杉本も落とせず、杉田雅俊(東京)が唯一落とし優勝した。杉本は3位、本人納得の順位であった。
 今回の成績で高橋、杉本はワールドカップ日本代表決定。また女子に関しては、決勝進出した8名に中学生が2名、野口啓代がワールドカップシード選手のため、10位まで日本代表となったため萩原も棚ぼた状態で日本代表となった。(ワールドカップは高校生以上が参加条件らしい)
 女子決勝途中から、会場のシャッターを開け、通行人にまで観戦出来るようになった今回の大会、日山協運営側も相当非難を浴びたらしく、日山協の中川氏と直接話しをした時に最初に謝られてしまった。また表彰式でもこの件について謝罪していたが、会場の構造上仕方ないであろうし、今後このような大会も増えるのだと思う。

 北海道から3名のワールドカップ日本代表選手が出るのは初めてでしょう。しかも開催国は日本です。既に私は来月の飛行機を予約し、観戦体制です。ワールドカップは入場券が必要なので、今回のジャパンカップのようなことはないでしょう。

 最後に、高橋が最終便の飛行機が間に合わないため、私が代わりにステージに上げられて賞品を受け取り、写真がワールドカップHPに出てしまったのは汚点でした。


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