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JFAユース日本選手権2010 大会報告

 3/26(金)、27(土)の2日間、JFAユース日本選手権が開かれた。昨年までの幕張総合高校から会場を移し、
東京都東久留米市スポーツセンターでの大会となった。北海道からは、個人参加の杉本を含め、9名の参加となった。
昨年とは異なり、予選はオンサイト1本での勝負となり、皆、緊張感を高めた中での予選となった。
 ルートは、女子が傾斜がきつくかぶった壁、男子が垂壁気味の方であり、ともにパターンの処理が重要と見えた。
 女子アンダーユースB、最初に登場の佐々木は落ち着いた登りで一つ目の核心の8枚目スローパーの処理も力強
くこなしルーフ部へ進む。アンダーガバ両手保持のムーヴに苦しみ粘りを見せるが次の一手が出ずフォール。7位で
あと一手足りず予選敗退となった。
 続いて小武。初のJFAで非常に緊張していたが、体全体を大きく使う登りで上部に達し、佐々木の苦しんだアンダー
ガバからの左手クロスムーヴを決め一手抜け出し6位、決勝進出を決める。
 男子ジュニア、日本代表クラスが勢揃いしており、ユースA・Bとは明らかに難度の異なるルートである。出だしから
パターンを多用する必要があり、フットホールドも乏しく、経験の差が出るルートと見た。杉本は、今までになく緊張が
見てとれたが、下部を慎重にこなし、核心のカンテ取りからルーフ部への移動に、それまで誰も使わなかったヒール
フックを駆使、強豪が保持できないホールドを止め、さらに一手保持してフォール。結果、3位での予選通過となった。
 大泉、慣れないパターン壁に苦しみ、下部で苦戦する。手順が逆になるなど危ない場面を何とか乗り越えるが、
パターンカチから左ホールドへのムーヴが起こせず、上部へランジ、ダンゴポイントを抜け出すがフォール。18位。
 続いて三上。現在、急成長中の彼だが、やはり下部のパターン利用に手こずる。縦ホールドから足をパターンに乗
せ、パターンカチをつかむムーヴに気づきダンゴポイントへ。そのカチから次のパターンを探るもフォール。20位タイ。
 小山内、出だしのホールドを使わず3mほどパターンのみで進み、落ち着きを見せるが、縦ホールドからのせり上が
りに苦戦。左手でパターンを探るが左足を上げきれず、ランジを試みるもフォール、30位。完登は新田のみという超
ハードルートであった。
 男子ユースB、Aは同一ルート。まずユースB、佐藤、パターン壁への足運びもよく軽快に上部に達する。勝負の分
かれ目、21手目を保持、次へも手を出しフォール。3位タイで予選通過。明日への期待大である。
 ユースA、菅原、前日の練習は重い動きで心配されたが、正確なルートの読みで上部へ。21手目をつかみ勝負を懸
け22を飛ばし23手目へランジ。3位タイかと思われたが、21+で10位、あと1人で決勝を逃す。最後にビデオ判定を
してもらうも、23手目の有効ポイントをヒットしていないとのこと。22-を狙っていれば決勝であり、非常に惜しい予選落
ちであった。
 続いて中村、前日練習の好調さを維持し、中盤までノーミス。ルーフ手前で迷いもあったが立ち直り、ルーフ抜け口の
ホールドを保持。17位であった。
 翌27日、3人が決勝へ。女子アンダーユースB、小武。出だしから前日男子ルートのようにパターンを使う難しい下部
を、小武は判断よくこなし6枚目へ。パターンカチを利用し、右へのトラバースで一度足が切れる。体勢を立て直し、さら
に右へのガバをつかむが足が決まらずフォール。しかし順位をひとつ上げ5位と健闘する。
 男子はユースA、B、ジュニア同一ルートで非常に厳しく5.13bくらいであろうか。まずユースB、佐藤、「日本代表入り」
を意識し、朝から非常に緊張していたが落ち着いて登り出し、中盤のカンテをたたくムーヴへ。一度ためらい、上部ホー
ルドをつかむが、もう一度カンテへ左手を出す。裏側のホールドの位置を誤り、右手の寄せも厳しく、つかみきれずフォー
ル。4位であった。
 ジュニア決勝には杉本。前日よりリラックスした表情で「日本一のクリップ」のアナウンスの中、正確なムーヴで進む。
沼尻の落ちた11枚目への移動も最も安定しこなす。カンテへのトゥフックで場内を沸かせ、上部トラバースも危なげない。
壁の右端から上部への移動も力強く、それまでの最高高度を大きく上回る。杉本優勝か?の期待の中、新田が登場。
前半にフォール寸前までいくが食い止め、落ち着く。杉本がクリップで苦しんだポイントを頭上ヒールフックでこなし、同
高度へ。さらに一手、二手‥と進め、新田が優勝。杉本2位。両者、大会の最後を締めくくる感動的な登りで惜しみない拍
手を浴びた。
 北海道選手団は、杉本頼みの状況から一歩抜け出す前進を見せることができた。
 しかし、競技への真摯な取り組み、日常からのトレーニング、大会への意識、オンサイト能力、一手、半手先へ進む
意地など改善すべき点がまだまだあり、逆にその改善により、今後も全国上位で戦うクライミング王国の可能性を感じ
させる戦いができた。
                                                                (文責 畑野)

 

 



     

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