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   第13回JOCジュニアオリンピックカップ大会報告
                                   (北海道山岳連盟競技委員 畑野 和宏)
  2010.8/13-15  会場 富山県南砺市 桜ヶ池クライミングセンター

<予選1日目> 2010.8.13(金)

 11日のフェリーでの移動も、台風をギリギリでかわし、36℃の天気予報もかわし、曇り空、最高気温30℃(?)と
北海道人としてもしのげる気候条件の中、予選1日目が始まる。外壁が4ルートのうち、両端が女子、内側のかぶった壁が
男子なのは昨年と変わらない。
 男子ジュニア:Bルートが推定グレード5.12c/d。最初に登場の橋本は今回のメンバー中、全国大会初出場である。
落ち着いた登り、パターンをうまく踏み高度を上げルーフ部分へ。デッド気味の右手がガバ取りでフォール。32−で28位。
続いて杉本、全く迷いのないムーブを力強い動き、最後のヒールフックも完璧に決め完登。余力十分である。大泉、全国大会
も3回目。落ち着いた登りでルーフ部に達し、多くの実力者が落ちた36手目もしっかりとめ、12位と大健闘。三上、昨年
から急成長中の選手である。橋本と同じところまで高度を上げるが次の一手が出せずフォール、31手29位。
 男子ユースB:ジュニア同様Bルートでの登りは3月JFA全国4位の佐藤である。いつも通りの無駄のない登りでゴール
に迫るが、本人いわく、パンプが早く、34手目までで10位発進となる。決勝進出に向け、明日は簡単に落ちられない状況
となった。
 ユースA:今大会最大の56人がエントリー、Cルート推定5.12Cくらいであろうか。中村は、垂壁中盤の窮屈な足上
げで右手を消耗するが、かろうじてこらえルーフ部へ。22手目保持の後、イチかバチかのランジで25手をタッチするも判
定されず27位。菅原、持ち前の力強い登りでルーフ部最難の核心を越え最上部へ。ゴールまであと3手のホールドにタッチ
で終了。9位と明日に期待をつなぐ。
 女子アンダーユースB:ルートはAルート、推定グレード5.12a。全体的にリーチの必要な遠いホールドの多いルート。
小武は難しいハリボテへの移動やカチホールドにもうまく対応し、最後の核心へ。ハリボテの両脇のホールドから1m以上離
れたホールドへのデッド。有効ポイントがつかめず、3度4度とムーブを起こすが届かずフォール、3位タイ。
続く佐々木、本人は緊張でガチガチだったと言うが落ち着いた登りで上部へ。小武と同高度のデッドポイントで精一杯伸びる
もフォール、3位タイで明日の上位進出が望まれる。
 初日は、杉本も含めると9名中6名が決勝進出の可能性が充分にあり、明日の集中した登りに期待し、チーム北海道として
の応援にも力が入る。

<予選2日目> 2010.8.14(土)
 
 前日の予選では杉本を含め6名の決勝進出も可能という、絶好の状況で2日目をむかえる。天気予報は午後から雨、最高気
温35℃ということであったが、雨は断続的に降るも、気温が上がらないのが北海道選手団には幸いした。予選2日目は前日と
ルートを入れ替えて登るので各チーム充分に情報交換して臨んでいる。
 男子ユースB:佐藤が1番手、前日10位とギリギリの位置にあり、気迫の登りを見せる。30手すぎの最後の核心も力強く越
え、ゴールタッチ。トータル9位に順位を上げ決勝進出を果たす。
 男子ジュニア:Cルートも5.12c/d あたりか。三上は初日よりも冷静な登りでミスなくルーフ部へ進む。23手まで保持しフ
ォール。前日から順位を上げ28位。大泉、完登できればジュニアの豪華メンバー野中で決勝進出となる。本人も非常に調子が
良く垂壁部は疲労なく抜けルーフ部へ。スローパーの続く中握力を失い、26手目から上を狙うがフォール。トータル18位に
下げたが大健闘であった。橋本、本人得意の持ち替えリーチ系課題であり、大いに期待されたが16手目の垂壁部核心でタッチ
落ち。トータル29位に下げた。杉本「絶対完登」の期待の中、スピーディーかつ安定した登りで難なく完登。1位タイ通過で
あり、明日は最終登攀者として優勝を狙ってもらいたい。
 男子ユースA:中村は前日の失敗を取り返すべく力強いムーブでぐいぐい進む。ルーフ部32手を取るムーブで右足のトウフッ
クがはずれ惜しくもフォール。前日から順位を2つ下げ29位。菅原、全国大会初の決勝がかかる。ライバルの落ちた36手目、
37手目をヒールフックを駆使してクリア。39手目まで手を出しフォール。トータル7位と大健闘の決勝進出を果たす。
 女子アンダーユースB:佐々木は前日と変わってリラックスした登りが光る。有力選手(安田あとり)のムーブをまねしたレ
ストなどを入れ、余力十分でゴールまで達するが、時間切れを宣告され、48+までの判定で6位通過となる。小武、前半のハ
リボテ取りで左手が届かずあわやフォールの場面を右手右足のみで支えひやっとさせる。その後は危なげなく進み完登を果たす。
堂々の3位通過である。
 以上2日目は北海道選手団9名中5名が決勝進出という快挙を成し遂げた。ここで満足せずさらに上をめざすこと、予選で終
了したものもチームの一員として決勝進出者をサポートすることをミーティングで確認し明日に備えたい。

< 決 勝 > 2010.8.15(日)

 気温36℃の予報が初めて当たった最終日、北海道から5人というこれまで最多の決勝進出者でむかえる。ルートは左Bルート
の傾斜を強くし、Aルートにつなぐ20m越えのルートが男子、5.13Cくらいか。同様にCルートからDルートにつなぐルートが
女子で、これも20m越、5.12c1/dくらいであろうか。決勝はアンダーユースBから始まり、ジュニアの最終登攀者杉本まで
71名で行われた。
 女子アンダーユースB:佐々木、遠い距離の多いホールドを180°開脚ステミングなど巧みな足使いで高度をかせぐ。垂壁終盤
の悪いホールドからハイステップし、スローパーを止めるところで惜しくもフォール、予選の順位を守り6位入賞となった。
続く小武、佐々木同様遠いホールドを巧みな足使いで切り抜け進む。前述のスローパーは親指をねじこみ止め、ルーフ部へ。
かぶりは前日より厳しいが安定して進み1番辛い大きなアンダー取りで保持しきれずフォール。しかし優勝者とノーマル、
マイナスの違いによる差で2位となる。すばらしい登りであった。
 男子ユースB:下部から非常に厳しくアンダーユースBの選手はあっという間に落ちていくルート。佐藤はオンサイト能力が
高くスムーズに進む。パターンの利用も手足ともに順調で20手目のハリボテへ。そこは厳しくクリップせず上へ突っ込み22
手目タッチ。好判断であり5位に順位を上げた。
 男子ユースA:菅原もボルダーチックなムーブによく対応し下部をスムーズに進む。佐藤と同じハリボテで躊躇し、クリップを
とばし21手から22手を止める。さらに23手目を保持したところで足が切れフォール。8位となった。
 男子ジュニア:予選2本とも完登した者が10名中8名という実力者揃いのカテゴリー。4番手に登場した新田のみ「わたり」
に成功し、ぶっちぎりの高度に達する。最終登場の杉本に優勝の期待がかかる。いつものとおりの迷いのないスピーディーな登
りで一気にルーフ部へ。27手目に向けたヒールフックがはずれ握力を消耗し30手目をタッチしてフォール。4位であった。
 3日間を振り返ると、男子は3カテゴリーで決勝進出を果たし、北海道の層の厚さを証明することができた。女子は2人の力が
道内で抜きん出ており、全国でも十分通用することを示すことができたが、全国の登りを見て、国体少年女子世代の強化が非常
に遅れていることを痛感した。今回、予選を通らなかった選手も決勝でサポート、応援し、「チーム」で戦う意識を持って大会
に臨めた。今後もこのように選手同士が切磋琢磨し、またサポートしあって北海道クライミング界を盛り上げていきたい。

 北海道選手の成績 (詳細については日山協HPをご覧下さい。)http://www.jma-sangaku.org/
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│ カテゴリー   │ 選 手 氏 名 │ 学 校 ・ 学 年       │順 位 │
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│ 男子ジュニア │ 杉本  怜 │早稲田大学1年(札幌西高卒)│ 4位 │
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│        │ 大泉 直也 │ 遠軽高校 3年       │18位 │
│        ├───────┼──────────────┼────┤
│        │ 三上 晃平 │ 札幌清田高校 3年     │28位 │
│        ├───────┼──────────────┼────┤
│        │ 橋本 亮平 │ 遠軽高校 3年       │29位 │
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│ 男子ユースA │ 菅原 亨介 │ 遠軽高校 3年       │ 8位 │
│        ├───────┼──────────────┼────┤
│        │ 中村 浩貴 │ 遠軽高校 3年       │29位 │
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│ 男子ユースB │ 佐藤 嘉晃 │ 札幌西高校 1年      │ 5位 │
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│ 女子アンダー │ 小武 芽生 │ 札幌市立宮の丘中学校 1年 │ 2位 │
│    ユースB├───────┼──────────────┼────┤
│        │ 佐々木里穂 │ 札幌市立中央中学校  2年 │ 6位 │
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 *各カテゴリーは生年で分けられています。
ジュニアは1991年、1992年生まれ。ユースAは1993年、1994年生まれ。
  ユースBは1995年、1996年生まれ。アンダーユースBは1997年、1998年生まれ。






                

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