第19回ＪＯＣジュニアオリンピックカップ大会報告 2016.8/13-14 文責 畑野 和宏
今年も南砺市桜ヶ池クライミングセンターでＪＯＣジュニアオリンピックカップ大会が行われた。北海道からの参加者は５名。
男子ジュニアに岸本武蔵（北海道科学大学１年）、野田銀我（遠軽高校３年）、ユースＡに谷口翼（遠軽高校３年）、
女子ユースＡに北谷未紗（遠軽高校２年）、ユースＣに井土桜花（札幌市立三角山小学校）である。
長年引率をしてきて、今年はさほど熱くなかったと感じた。北海道勢も力を充分に出せるコンディションであった。ルート
は左からＡ，Ｂ，Ｃ，Ｄと名付けられ、Ａ，Ｃが女子とユースＣ男子、Ｂ，Ｄが男子であった。グレードは完登者数と完登者か
ら予想して左から１２ｄ（完登２名、田嶋が落ちた）、１３ａ（完登６名）、１２ｃ（完登１４名）、１３ａ（完登６名、波田が落ちた）
と言うところか。
１３日（土）予選（フラッシング）１日目、Ｂ壁に野田、リードの全国大会は初めてである。堅くなることなく丁寧にパターン
壁の足を拾う。垂壁部のカチの持ち替えに手こずり耐えるが５手進んで２０＋でフォール、１９名中１７位。続いて岸本、
５回目の出場で落ち着いたいい登りを見せる。傾斜に入ってからさらに気合いが入り３３＋まで伸ばし７位につける。
女子ユースＡにはＣ壁に北谷、２年ぶりの出場で成長を見せた。下部は持ち前の柔らかさで対応、傾斜に入る足ブラから
の手に足ヒール、クロスを決め３１手で２８名中１７位。Ｄ壁には谷口、充分に待ち時間を生かして準備し、気合いの入った
登りを見せる。３分の１程の地点にある横ランジが第一核心だ。ランジは得意な選手であったが、踏切足と左手の悪さから
フォール、１５＋で４４名中３１位タイ。実に３分の１はここで落ちたと言うことだ。この日最後に井土がＡ壁に登場。１４３㎝
の体を目一杯に使う見事なムーヴだ。届かないホールドには内クロスで対応、１０枚目からの悪いホールドにも耐え、核心
の緑二重丸ホールドを片手保持するもフォール、２５＋で２８名中１２位。
ユースＣは男女とも非常に強い選手が多かった。
翌１４日（日）前日と逆のルートを登る。岸本と井土には予選突破の期待がかかる。まずは野田、下部はスムーズで練習通
りの登り。ランジ前に充分シェイク、距離も充分だったが左に流れすぎフォール、１５＋で１２位タイ、トータル１７位であった。
続いて岸本、ランジは余裕を持ってクリア、中盤の厳しい持ち替えもクリア、最上部に迫る登りで３０手まで行き７位タイ。
国体入賞者やワールドユース代表に競り勝ちトータル７位で決勝に残る。続く北谷、前日の情報交換を生かし下部を的確
に進む。背が伸びたことで余裕も出ている。１０枚目の厳しいパートはフットホールドも手で拾いクリア、井土の一手前でフォ
ールし２４＋で１７位、トータル１９位であった。両ルートともあと一手ずつ伸ばしていれば１３位まで上がれただけに、一手の
重みを感じてほしい。
４人目は谷口、テーピングの準備も充分、気合いも充分で登り出す。６枚目のクロスに予想以上に手こずりパンプ、警戒し
ていたアンダー取りでフォール、１５＋で３５位タイ、トータル３８位となった。国体にも選ばれていたが受験と重なり、これが
（高校の）引退試合となった。名門遠軽高校（本人の自己紹介より引用）の部長としての重責を充分に果たした登りであった。
５人目に井土、決勝進出には２人を抜く必要があり、上位陣の実力からするとかなり厳しい。しかし本人は全く緊張もなく
普段通りの伸び伸びした登りだ。北谷の落ちたパートも余裕があり、傾斜部の厳しいトラバースも足が切れても耐える。
４０手まで伸ばしてこのルート８位、トータル１０位でぎりぎり決勝に残る。小学生の決勝進出は井土一人であった。
１５日（月）決勝。ユースＣは男女とも同一だが、ほかのカテゴリーとは違う課題だった。グレードは１２ｄと予想するが、
最後の一手が悪すぎて１３ａ/ｂかもしれない。森秋彩が落ちたので判断が難しい。井土は最初に登場した。前半の下部に
距離的に心配なランジがある。そこまでは平然と登っていたが、厳しいランジで全く止まる気配もなくフォールした。１２＋で
１０位。しかし日本の小学生の頂点である。素晴らしい。
岸本は終盤に登場。男子のルートは１３ｂ/ｃ前後だろう。女子も１３ａは確実にあっただろう。両ルートとも名物の渡りが
ある５０手ほどのロングルートだ。１３手目にトリッキーなムーヴがあり、ユースＢでは３人が落ちている。岸本はよく考えた
ムーヴで対応し傾斜壁へ進む。大きな丸い張りぼてを両手で押さえ込み右手クロスを出すムーヴで足が切れフォール、
２９＋で７位であった。
ワールドクラスのメンバーの中で決勝進出を果たした彼にはさらなる進化が期待できる。