■山の用語豆知識(50音順)

 

アイスフォール

 氷河地帯の氷のブロックやクレパス(裂け目)がたくさんある場所。危険な場所であ

り、通過するには細心の注意が必要。

 

アイゼン

 鋭い金属の爪がついたスリップ止めの金具。登山靴の底につける。前爪が着いた10

本または12本爪が主流。クランポンcrampon(英)ともいう。

 

アタック

 登頂を目的に山頂に挑むこと。attack(英)。

 

アルバイト

 高さをかせぐために登る行為をさす。重荷や急登で多大な労力を消耗するようなとき

に使われる。

 

エイト環

 垂壁など急な岩壁をおりるときにロープに絡ませて使う下降器。“8”に字のかたち

をしている。

 

カラビナ

 軽合金製の輪。ハーケン(岩釘)など確保の支点とにロープを連結したり、ほかいろ

んな用途に使うことができる。karabiner(独)。

 

ガレ場

 谷の斜面などの崩壊地帯で、大小さまざまな石がごろごろ散乱しているところ。

 

キレット

 鋭く切り込んだ急峻な鞍部。切戸、信州の方言。

 

極地法・包囲法・アルパインスタイル

 ヒマラヤなどの高峰を登る古典的なスタイル。BC(ベースキャンプ)からC1(第

一キャンプ)C2、C3と次々に前進キャンプを設営し、最終キャンプから登頂する。

極地探検などに用いられた極地法(ポーラ・メソッド)を変形して、高所登山に適用し

たものが包囲法(シージ・タクティス)。これに対し、少人数で、クライマーが自ら荷

物を背負い、高峰を登るのがアルパインスタイル。

 

クーロアール

 急峻な岩の溝のこと。

 

クレパス

 氷河の割れ目。深さ数メートルの浅いものから数百メートルに達するものまであり、

アルミのはしごを掛けたりして通過する。crevasse(仏)。ヒドン・クレパスは、新雪

に覆われてみえないクレパスのこと。

 

高所順応

 重い高山病(酸素を十分に取り入れることができないため生じる体の不調)を防ぐた

め、一定の高度を上り下りして、体を慣らす。これをうまくできるかに、成功がかかっ

ているともいえる。

 

コル

 稜線上の低くくぼんだところ。鞍部。col(仏)。

 

ザイル

 登山用の綱。seil(独)。クライミング・ロープclimbing rope(英)9o、10.5o

がよく使われている。

 

スリング

 細いロープやテープを短く切って輪にしたもの。登攀中の確保、自己確保、懸垂下降

時の捨て縄など用途が広い。sling(英)。

 

スノーアンカー

 雪面にロープを固定するために使う、アルミ製の支点用具。縦に長いスノーバー、四

角のデットマンなどがある。ワイヤーが付いていて、そこにカラビナをかける。

snow  anchor(英)。

 

雪屁

 稜線に積もった雪が風下に張り出し、ひさし上に伸びたもの。踏み抜かないように注

意が必要だ。

 

セラック

 氷塔。多くのクレパスによって断ち切られた氷の一部が、塔状に残ってそそりたつも

の。serac(仏)。

 

ツェルト

 小型軽量の簡易テント。緊急露営、悪天候下などで使われる。zelt(独)。

 

デブリ

 雪崩による堆積物。debris(英)。

 

デボ

 荷物や装備をため置いておくこと。depot(英)。

 

トラバース

 斜面を横に移動すること。traverse(英)。

 

トレース

 踏み跡をたどること。trace(英)

 

トレール

 雪面の足跡やスキーのあと。踏み跡。trail(英)。

 

バイル

 ピッケルのブレード部がハーケンを打てるようにかなずちのようになっている。主に

氷壁を登るときに使う。

 

ハーケン

 岩壁の割れ目に打ち込み、確保の支点とする岩釘。氷雪用のものはアイスハーケンと

いって、スクリューがついているので、ねじ込んで固定する。haken(独)。

 

ハーネス

 腰に巻く安全ベルト。harness(英)。

 

ハング

 岩壁が手前に突き出しているところ。hang(英)。

 

ピッケル

 つるはし付きの杖。氷雪上で滑落停止や確保の支点、歩行バランスのために使う。

pickel(独)。

 

ピナクル

 山頂に連なる稜線上の岩峰のこと。pinnacle(英)。11/23「道新スポーツ」の

写真のピークがマナスルのピナクルと呼ばれている。(マナスル山頂は後ろで見えない)

 

フィックス・ロープ

 固定ロープ。高所の岩場など危険個所に備え付け、安全確保や登攀補助に使う。

fixed rope(英)。

 

プラトー

 高山の雪で覆われた緩斜面一帯又は台地状の場所。

 

ペグ

 テントの張り綱を固定するため、打ち込む杭や金具。peg(英)。

 

モレーン

 氷河に運ばれてきた岩石や土砂、またはそれによってできた丘。moraine(英)。

 

ユマール

 固定したロープに掛けて使う登攀用具。一方向のみロープが滑るようになっている。

jumar(独)

 

ラッセル

 深い残雪の中を、雪をかき分け、踏み固めながら進むこと。ラッセル車を考案した

米人ラッセルRussellに由来する。

 

リッジ

 やせた岩尾根のこと。特に鋭いものはナイフリッジと呼ばれる。ridge(英)。

 

稜線

 山の峰から峰へ続く顕著な尾根のつながり。

 

ルート

 歩行するコース、道筋。

 

ルート・ファインデイング

 自分の進もうとする道を見つけること。route finding(英)。

 

 

作成 真下誠二(札幌山の会)

 

 

参考及び引用文献

「東日本マナスル登山隊1998」ホームページ    

http://www.akita.isp.ntt.co.jp/wnn-c/outdoor/manaslu98/

「山歩きのための山名・用語辞典」山と渓谷社

「役立ち100の登山用語」野村仁著、山と渓谷社

「和仏山岳用語研究」村西博次編集、ナカニシヤ出版