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「がんぱぁっぺ東北」ツアー
  山岳スキー技術研修・強化合宿 報告
 2012.3/23-26

参加者 北海道25名(2名はスノーシュー)
     十和田山岳会から15名交流

交流と絆で登った北八甲田山系 高田大岳

 道岳連山岳スキー隊は初の海外遠征で東北みちのく八甲田に行きました。
 昨年3月に企画して、いざ出発の前の週に“東北大震災”で中止になった事も有り今回は
是非とも実現したい山行でした。
 実施するにあたり青森県山岳連盟十和田山岳会の下山会長はじめ理事長の扇田さん達会員
皆さんの心温まる歓迎を受けました。
 『山をやってて良かった』と此れほど思った事はありませんでした。初対面同志の会員が
何時の間にか親しく語り山談議に花を咲かせた一日でした。
 明日は高田大岳へ登ろう・・下山会長さんから『八甲田で一番の大斜面を滑って楽しんで
下さい!』と、激励を受け『雪面がクラストしたら壺足で登る』とアドバイスをいただきました。

 登山当日、快晴の空の下、北海道山岳連盟山岳スキー隊23名とスノーシュー2名は高田
大岳をめざし十和田山岳会メンバーの激励をうけて出発しました。
 予定コースは新雪ラッセルでトップ交替を早めにしてCont976から高田大岳の全姿が
見えた時は圧巻でした。大斜面が目に飛び込んで身ぶるいしました。
 “このコンディションで登頂出来なかったら北海道山岳連盟の恥だ!”と思いました。
 “結果を出す事が交流と絆をより一層深める”そして、十和田山岳会のメンバー全員に対
する感謝の印と心にきめました。

 7合目からスキーをデポして、壺足でクラスト斜面をキックステップで登る。
 全員で一歩一歩踏んで交替しながら登る。81歳の現役山岳スキーヤーの東海林さんも
一番若い女性の神野さんもしっかりステップを刻み二人は手をとりあって登頂した。
全員登頂を果たした。そして、交流と絆で登った北八甲田山系 高田大岳でした。

                                            A班リーダ 藤木 晴夫

写真 土屋、音尾 

3/23 苫小牧24:00出港


3/24
7:10八戸港 防波堤が壊れたまま

8:00 八戸港フェリーターミナル使えず別の岸壁に上陸 バスのほか普通車2台も出してもらう 朝食を新八温泉で

9:00八甲田へ 途中の雪壁は2~3m


12:20八甲田ロープウェーは強風で運休、スキー場でのゲレンデスキーとなったが雪質も良く充分楽しむ

スノーシュー隊も頑張ってます

身体馴らしも終わり15:00スキー場発

16:00秘湯谷地温泉着

温泉の湯船は写せませんでしたが外壁に硫黄分が浸み出てます


待望の十和田山岳会との交流懇親会               下山会長歓迎の挨拶


準備段階から大変お世話になった扇田理事長による乾杯


二次会はますます盛り上がる

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3/25
さあいよいよ高田大岳へ青空も覗く

8:20 出発前に記念撮影

この山は黒森です                         8:40準備体操後いよいよ出発

9:30 C976高田大岳の全容!

                                     スカイラインに樹氷

10:40 スノーシュー隊はここで下山


10:55 C1260 シーデポ後ツボで登山


12:15 高田大岳山頂着(1552m)
A班とB班そして全員

12:35 下山開始

13:20スキーに履き替え張切って下る

動画から切り出した皆さんの勇姿です


14:20 谷地温泉着


道の駅奥入瀬パークで 下山会長お別れの挨拶

18:10八食センターで夕食後フェリーターミナルへ
19:00十和田山岳会の皆さんには大変お世話になりました


出港後しばらく揺れたが寝てる間に波も納まる

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3/26
5:57 雲の上に日が昇る


苫小牧到着前に船内で解散式
 担当役員の皆さんお疲れ様
7:10北海道着


おまけ マルトマ食堂のほっきカレー
  盛りが良すぎてパックに分けてお持ち帰り

「大先輩と雪の進軍」

私が冬山を登る様になったのは先シーズンの11月から。それも引っ越しやらなにやらで日
常が騒がしく、ほんの数回で雪解けを迎えてしまいました。そんな私は冬に向け、読書や
DVD鑑賞で妄想を膨らましておりました。中でも大のお気に入りは映画「八甲田山」!!!
台詞や細かな動きを暗記するほど見返しました。
 昨年の秋頃、北海道山岳連盟での八甲田企画があると聞いた時は、自分の力量度外視で「
絶対参加したい!」と心に決めました。始まった今シーズンは、足りない体力を少しでもア
ップするために、休みという休み、夜勤の明けでも入りでもとにかく山を登りまして、なん
とか「行けるかもしれない。」と思える所まで行くことができました。
 冬山2シーズン目で海を越えることになるとは思いもしないことでした。大大先輩たちと
肩を並べてフェリーに乗り込み、「北海道山岳連盟御一行様」と貼られた個室で過ごしてい
ることが不思議な思いでした。
 青森到着後は十和田山岳会の方々が本当に良くして下さり、なんの心配もなく(自分の心
配だけしてればいい状態で)快適に行程を進めていくことができました。特に到着当日の懇
親会で、十和田山岳会の皆さんがあの大好きな映画「八甲田山」の撮影協力をしていたと知
り、下山会長さんから撮影秘話を伺うことができたのは本当に興奮でした!!
山を登る前にすでに「来て良かった!!」と感動でした。 私がリクエストした「弥三郎節
」南部藩の歌だから歌える人はいないんだよとおっしゃっていましたが、二次会では歌って
下さったとか!残念なことに私ははしゃぎすぎで部屋でダウンしておりました。生の弥三郎
節、聞きたかった!!
 そして迎えた3月24日。麓はあいにくの曇り空でした。先輩たちに交じって登頂を開始し
たのは8時38分。同じA班には御歳81歳(現役ガイド!)の重鎮Sさんがおり、御一緒でき
ることを光栄に思いつつの山行でした。ラッセルは深く重いものでしたが、A班・B班交代で
行い、私などは(皆様の心遣いで)ほぼ水平な広場をほんの少し漕いだだけで全くラッセル
無しといってよいほど。「申し訳ない」と言う私に、笑顔で「これでおあいこくらいだよ!
」と言って下さる先輩。感謝です!かっこいいです。
 そして最初の登りが終わり高田大岳が見える頃、見事に雲が晴れ晴天となったのです!山
がドドーンと挑戦状をたたきつけて来た感じです。「行くしかない!」とふんどしを締めな
おす私。憧れの八甲田で、「先頭かんじき隊こうた~い!」など、憧れの映画のセリフを言
っては喜び、「雪の進軍」を歌っては「ラッセルが足りないかぁ~?」とからかわれて急い
で静かにしたり、素晴らしい八甲田山系の写真を撮りまくりで大興奮の山行が続きました。
 1260m付近、10時55分。風が強まってきました。雪の状態からスキーでの登坂は危険と判
断され、スキーはデポしツボでの登頂に切り替えられました。吹雪でどんどん視界が悪くな
る中、ストックを横に持ち、腰ほどのラッセルを繰り返す先頭を見る。「ほ・・・・本気で
雪の進軍になって来た・・・!!」
 疲れた、という思いが頭をよぎる頃、後ろから「がんばー、がんばー、」の掛け声が聞こ
えて来ました。そのお声の主は最高齢参加者、Sさんあのお方ではありませんか!体の芯の
方からエネルギーが湧いてくる感じがして「行くぜ~!!」と再び手足を動かすことができ
ました。
 視界がほとんど効かない中で、全体からSさんに山頂をプレゼントしようという声が上が
りました。「最年少と最年長が手をつないで行け!」と言って下さいましたが、私はとても
恐れ多く、先頭のYさんと二番手のKさんの二人がSさんを「私が風よけになります!」と
挟むようにして山頂を目指す姿に、物凄い感動を感じながらその後ろを行きました。

 山頂到着は12時15分。映画「八甲田」そのものの吹雪の中、皆で記念撮影をしました。下
山では立てておいたフラッグ(専門用語ではルート旗でしょうか?)が完ぺきな道しるべと
なっていることを知り、流石山の大ベテラン集団だなと再度関心しました。登りで体力の8
割を使い果たした私の滑りはそれはひどいものでした。生まれたばかりの牛そのもの、筋肉
が痛くてブルブル震えました。雪質はもなか雪、上級者も苦戦している所もあったようでし
た。サブリーダーのYさんは、自分も滑りを楽しみたいでしょうに、ずっと私を見守って、
注意を促し、励まして下さいました。一度シールを貼り歩いた後、最後の下りで再びシール
を剥がした所でYさんが「見てごらん、君は今あそこを滑って来たんだよ!すごいじゃない
か、自慢していい。」と言って、高田大岳を振り向かせてくれました。足の痛みと滑りに必
死で余裕が無かった所に、「本当だ、私ってすごいかも。」という感動と、そびえる高田大岳
に再び盛り上がる気持ちを取り戻しました。下山終了は14時20分。私は本当に上に上げて
もらったなぁ~としか思えません!大先輩達に山頂を踏ませていただきました。
 帰りのバスで「みんな始めはそんなもの、後10年もしたらあなたがこちらの立場になって
いるんだから。」と言われました。自分が皆さんの様なレベルまで行けるかは不明ですが、
山で受けた恩を自分も山で返したいと思いました。帰りのフェリーでSさんに「Sさんのが
んばーの声で山頂まで行けました。」とお礼を申し上げた所、「登頂できたのはあなたの力
ですよ。」と温かく乾いた手で手を包んで下さいました。感動で目頭ツーン!です。
 十和田山岳会の皆様、北海道山岳連盟の先輩の皆様本当にありがとうございました。感
謝と感動で胸がいっぱいです!!!
                                        ロビニア山岳会 神野 恵子

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