遭対へ   HPへ

遭難対策研修会報告

道岳連遭難対策委員長    大橋 政樹

 平成15年3月15日(土)〜16日(日)
 2日間の日程で国立日高少年自然の家で42名が参加して開催されました。
1日目は十勝岳連の荒堀英雄氏による「ベアリング法」の研修でした。
各班に分かれ、「天塩岳」の地形図を利用しコンパスを使い、磁北線を引き、各班毎に自由
に登頂ルートを決めルート上の各地点から、方向、角度、歩行距離、標高差、時間、を決
めていき注意事項等を行程表に記入しました。最近の事故傾向で多い、道迷いの事故防止
のために有効な方法であり活用してほしいものです。
ベアリングのあとは十勝岳連の福田正司氏による気象の講習がありました。毎日ヘリコプ
ターの飛行について予報天気図を分析しているプロの講義であり、優しい語り口で高気圧、
低気圧、気圧の谷、前線の特徴等の説明に、みな真剣に聞いていました。
その後、体育館に移動し富山県の立山にある文部科学省の登山研修所の遭難対策研修会に
参加した小樽山岳連盟の向川司郎氏と十勝岳連の斉藤邦明氏による伝達講習が行われまし
た。
 体育館の上からロープを4本下げ、ブルージックでのプルアップと8環での懸垂下降を
行い、ロープレスキューの基本技術を各班にわかれ体験しました。知ってるつもりがな
かなか思うように行かず、定期的に実施して忘れないようにしたいものです。また2日目
の実技研修は、ザックを利用した背負い搬送を行ないました。目を引いたのは、今年の新
技術と新しい方向としてはプルージック等もソースリングを利用することが多く細めのス
リングの利用度が増していることと、岩角からロープを保護するために立ち木を30cm
ほどに切って、大根を干すように長く並べ、細引きで縛り、ロープを摩擦から保護する方
法が新鮮であった。その後シート搬送を各班で作り、完成した6つのシート搬送の特徴を
リーダーが説明した、特にスキーを利用したスキー搬送が目を引いた。
 昼食後は遭難対策委員長の大橋政樹による山のリスクマネージメントの講義があった
ハインリッヒ法則でヒヤリハット体験の1:29:300の説明と、レバートの2:8の
法則を山岳遭難を例に説明した。スリップ、つまずきなどによる滑落、転落原因の事故が
8割を占め、その直接原因は2割の配慮で防止できる。その具体的防止策等の話があった。


次回の遭難対策研修会は、5月24日(土)〜25日(日)日高登山研修所で開催し、
日勝峠寄りの急斜面を利用して実践的な研修会を行う予定です。

福田正司氏による気象講習

ロープレスキューの基本技術


背負い搬送


ロープ保護


スキー搬送

遭対へ   HPへ